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     豊胸術・バストアップ

 豊胸術とは・・・

豊胸術イメージ 豊胸手術には、大きく分けて「人工乳腺法 (バッグ挿入法)」「脂肪注入法」の2つがあります。
 一般的に、豊胸術と言えば「人工乳腺法 (バッグ挿入法)」を指します。
 「人工乳腺法」とは、生理食塩水バッグ、シリコンジェルバッグ、クリスタルバッグ、CMCバッグ、コヒーシブシリコンバッグなどの、人工的につくられたバッグを「乳腺下」または、「大胸筋下」に挿入する方法です。
 そして、「脂肪注入法」は、太ももやお腹、お尻などから、脂肪を吸引し、その脂肪を乳房に注入する方法です。
 注入された脂肪は毛細血管に取り込まれ、この部分の組織として生着しますが、生着率は100%からは遠く、希望通りの結果を得られない場合もあります。また、乳腺が、ほとんどない方の2〜3カップのサイズアップは難しいです。
「人工乳腺法 (バッグ挿入法)」の手術時間はおよそ1時間、「脂肪注入法」は、2〜3時間程度。2方法共に入院を必要としません。


 豊胸術で使われるバッグの種類

 豊胸術(人工乳腺法 )で使われるバッグはいくつかの種類がり、バストの状態や、体格(骨格・筋肉等)、要望(触り心地・耐久性・安全性など)に合わせて適したものを選択します。

  生理食塩水バッグ
 人工心肺と同じ素材のシリコンバッグの中に、医療品として広く使用されている、完全無菌処理を施し、人間の体液に近く、身体に無害の生理食塩水が入ったバッグ。
【メリット】
・バッグが破れても、人体への悪影響はなく、最も安全性に優れている
・折りたたんで挿入するため、傷跡1.5センチ程度と小さい
・注入する生理食塩水の量で、バストの大きさの微調整が可能
【デメリット】
・耐圧性・耐久性に優れていない
・水漏れが起こる可能性がある
・水が流れる感触がある
・ジェル系バッグに比べると硬めの感触
・バッグの寿命が短く、10〜15年という報告がある

  シリコンジェルバッグ
 豊胸用として、最も歴史のある代表的なバッグで、世界的に使用されていますが、1992年に日本の厚生省にあたる、米国食品医薬品管理局(FDA)が、シリコンバッグの内容物が、乳がんや自己免疫疾患を引き起こす可能性を示唆し、使用中止要請が出されました。その後、シリコンジェルバッグと乳がんや自己免疫疾患との因果関係は否定され、再び使用が始まりました。
 このような経緯のある、シリコンジェルバッグは、人工心肺にも使われるシリコン製のバッグに、シリコンを入れたものです。
【メリット】
・非常に柔らかい素材で、自然な感触
【デメリット】
・バッグが破損した場合、広範囲の胸部切開が必要となる可能性がある
・バッグが破損し、中身のシリコンがもれた場合、周辺の組織と癒着を起こして硬くなり、放っておくと石灰化や肉芽腫を発症してしまう可能性がある
・レントゲンに写る可能性がある
・バッグの破損に気づきにくいため、半年〜1年に1度の定期健診が必要
・3〜4センチ程度の傷跡が残る

  コヒーシブシリコン (ユーロシリコン)
 シリコンジェルバッグは、バッグ破損時に、内容物のシリコンジェルが体内に漏れるというデメリットがあります。しかし、コヒーシブシリコン (ユーロシリコン)は、破損した場合でも、内容物がシリコンの凝集率が高く、ジェル状に固めた素材で作られているため、漏れ出しません。
 つまり、コヒーシブシリコン (ユーロシリコン) は、シリコンジェルバッグのデメリットを改善し、より安全性を高めたものです。 また、内容物が柔らかいの素材で、自然感触です。

  クリスタルバッグ
 クリスタルバッグはフランスのユーロシリコン社が開発した、継ぎ目のないシリコン製のバッグです。これは、安全性の徹底研究の結果、ニューシル・シリコン・テクノロジー社製「液状高分子シリコン」に、9層の被膜精製とバリアーコートが施され、抜群の耐久性を誇っています。
【メリット】
・自然な動きに近いため、横になったときも自然で柔らかい
・外観の仕上がりが美しい
・バッグが破損した場合、内容物が生理食塩水(人間の体液に近く、身体に無害)であるため、安全
【デメリット】
・ジェル系バッグに比べると硬めの感触

  CMCバッグ
 CMCバッグは、ハイドロジェルの一種のカルボキシメチルセルロースという、食品にも含まれている天然の水溶性物質から作られていります。
【メリット】
・バッグが破損した場合、内容物は安全かつ、体内に全て吸収されるため、身体に害がない
・外観だけでなく、感触も自然な、最新のバッグ
・バッグには注入弁がないため、内容物が漏れる危険性が低い
【デメリット】
・フランスでは安全性が確認されておらず、使用禁止要請が出されたことがある


 豊胸手術後の痛みについて

 術後1〜3日は、個人差はあるものの、かなり強い痛みがあります。特に大胸筋下の手術の場合は、乳腺下の手術に比べ、痛みが数倍強く、痛み止めだけでは眠れない方もいます。
 そのような方には、硬膜外麻酔よる痛み止めを注入したり、座薬、麻酔シール等で対応します。


 豊胸術の安全性と副作用

 豊胸手術は、異物を体内に入れるため、様々な事故や副作用が予想されます。
 術前の検診や、アフターケアなどで、これらを予防することが大切です。

● 被膜拘縮
 異物(豊胸手術で使われるバッグや注入脂肪)が体内に入ると、それに接する自己組織が拒絶反応を起こし、結合組織性の被膜が、バッグの周りに形成されます。この被膜が収縮し、バッグを締め付けるようになると、バッグがゆとりを失い、硬くなります。これによって、胸の触感が悪くなるだけでなく、胸が変形し、痛みを伴う場合もあります。こうなったら、バッグを取り除く必要があります。
 被膜拘縮が起こる確立は低く、マッサージによって、予防できます。また、触感や、外観に問題はあものの、身体にとっては無害です。
● バッグの破損
 豊胸に使われるバッグは非常に品質が高く、丈夫なのですが、破損しないとは言いきれません。 生理食塩水バッグやCMCバッグは、万が一体内で破損した場合でも、内容物である、生理食塩水が、体内に吸収され、尿として排出されるので、無害なのですが、破損した場合に有害なバッグもあります。定期的に検診を受けることで、万が一の事故を予防することが大切です。
● 乳首や胸の知覚鈍磨
 乳首や胸の知覚は主に肋間神経に支配されています。豊胸手術で、これらの神経に刺激を与えてしまうことで、手術後、乳首や胸の知覚が低下することがあります。ほとんどの場合、半年くらいで治りますが、知覚を喪失してしまう場合もあります。
● 血腫および感染
 まれに、血液がバッグを挿入したスペースに溜まり、血腫を発生させることがあります。 この場合、溜まった血液を取り除く必要があります。
 また、雑菌によって、感染が起こる場合もあります。この場合、バッグを取る必要があります。
● バックの大きさや、位置の誤差
 手術前のカウンセリング不足や、手術中の医師の確認不足などで、希望通りの胸にならない場合があります。
 熟練した医師の下、事前に具体的な希望を伝え、カウンセリングを充分に行うことでこれらを防ぐことができます。


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