体の免疫力が落ちていれば体の一部である口腔内にもよくない症状(口内炎、歯周疾患、口臭、味覚障害、舌痛、口の渇きなど)が表れます。 そのようなお口の症状には、他の臓器とは決定的に違う点がひとつあります。その違いが、治療法にも影響しているのですが・・・。 口内炎でも、むし歯でも、歯周病でも、顎関節症でも、怖い口腔がんでも・・・他のカラダの臓器と違い、お口をあけることで直接悪いところを見ることができます。 一般的にお口の中のトラブルと言うと、歯科医院や口腔外科を訪れますが、その際の治療は外部からの治療が基本になります。お口をあければ、悪いところが一目瞭然ですから、悪いところを治しましょう・・・と言う流れになるのは、当然といえば当然です。 よく西洋医学は対処療法、東洋医学は根治療法といわれます。どちらが優れていると言うことではなく、それぞれの特徴を活かした治療を行うことで、病気の予防やより早い病気の治癒に向かわせることができるらしいのです。 もともと自分の免疫力低下によって引き起こされた病であれば、漢方の力を借りて、体の内部から根本的に症状をよくしていくというのは、とても納得の方法ですね。 今回のレポートでは、カラダに優しい漢方を治療に取り入れた、「口腔漢方」についてお話したいと思います。 レポートをご覧になっているあなたは、漢方についてどのようなお考えをお持ちですか? 漢方医学の基本には『良医は未病を治す』という言葉があります。「未病」とは「健康と病気の間」を指し西洋医学では病気と診断されないものも漢方では対処法があると考えられています。その対処法とは生活改善・体質改善を促し、発症を遅らせ、生体がもっている回復力や免疫力を高めることです。 このような特徴がある漢方医学ですから、即効性のある西洋医学の考えに基いた薬とは、効き方が少し違います。からだに備わった免疫力を高める、体のバランスを整えることで病気に克つ自分に変えていく、病気にならない自分に変えていくことが主眼です。 このようにいわれると、漢方は健康増進のサプリメントのようにお考えになる方もいらっしゃるのでは? しかし、漢方薬はしっかりとした医師の指導なしに誤った使い方をすれば、重篤な副作用をもたらす、れっきとした薬であることに注意しましょう。 また、漢方というと中国の薬、という認識の方もいらっしゃるかもしれませんが、漢方は中国から伝わり、日本で発展した、日本人の体質やライフスタイルに合わせて作られた薬であることも知っておいてくださいね。そのため、医師の処方で出される漢方には、健康保険適用のものもあります。 漢方薬は草根木皮、動物生薬、鉱物生薬を決められた方法により一定の量ずつ組み合わせた薬です。 患者様の自覚症状を重んじ、症状をつぶさに診断していく流れです。個人個人によって処方も変わる、いわゆる「オーダーメイド」の治療ですから、他人の薬を気軽に飲んだりしないように注意しましょう。 ここでは、お口のトラブルに一般的に用いられる漢方薬の処方例をみてみましょう。 ただし、これはあくまで参考例です。先にも書いたとおり、漢方薬は個人の状態に合わせて処方されるオーダーメイドです。必ず専門のお医者様の診断を仰いでください。
なお、「漢方には副作用が少ない」といわれますが、それは本当の話。ただし、間違った漢方薬を飲むと副作用は1週間以内に表れるといわれます。一般的な薬と同じように、中には、重篤な副作用もあります。 また、日本漢方には瞑眩(めんげん)という概念があり、治療中に一時的に病状が悪化し、その後に完全に回復するような状態が出る場合があります。これは、副作用とは別のものです。見分けは難しいので、しっかりしたお医者様の管理の下、漢方も服用するようにしましょう。 一般的な薬にも、粉末やタブレットがあるように、漢方にも煎じたり、粉末にしたり、蝋蜜で固めた丸薬などがあります。 中でも、煎じて飲むタイプは最も効果が高いといわれています。また、空腹時に飲むのが最も吸収が良いとも言われています。 煎じるというのは、水などで煮て、有効な成分をぐっと引き出す方法です。見た目はお茶のようですが、あくまでも薬。量はしっかり守りましょう。 一見、量や飲むタイミングなどデリケートですが、人間のからだもとってもデリケート。からだに優しいといわれる理由は、人間のからだと同じデリケートな特徴を漢方自体が持っているからなのかもしれませんね。 漢方は、からだ全体の免疫力を高め、バランスを整えてくれる治療法であることはご理解いただけましたでしょうか? 即効性がない代わりに、内面から全身の体調を整えてくれるという効果が期待できます。歯周病のため、葛根湯を飲んでいたら、肩こりも解消されたなど、うれしい報告も届いています。 ただし、何度もお伝えしていますが、漢方は何にでも良いというわけではありません。 自分の体調、症状にあわせた処方こそが重要です。そのため、漢方の知識があるお医者様といっしょに漢方選びを行い、しっかりとした管理の下で健康なからだ作りにチャレンジしてください! 今回、口腔漢方にちて取材にご協力頂きました先生はこちらです。
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